(前ページからの続き)
長期間の浪人生活をしていて、その間にメンタルがやられてしまった方の記事。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c405484b7f13f40e670f7be80f95f3fae06b0595?page=5
健康第一。
浪人中は調子が悪く、いわゆる中弛みの状態が続いていたものの、友人が掛けてくれた言葉に背中を押されて、エンジン全開となったようです。良かったですね。
現役で医学部に受かる人も居ますが、全体的には半分弱ぐらいかな。私大に限ると3割とか。
現役以外だと、1浪、2浪、…、多浪、そして、再受験。
再受験でも、浪人のように、1年、2年、…、数年かかることもあるでしょう。
何年か頑張っても医学部に入れなかった場合に、それでも合格するまで続けるという選択肢もありますが、スパッと諦めて別の道を探るという選択肢もあります。
ここから先は、あくまでもわたしの持論です。
何年か受験浪人を続けてもダメだった場合、どうしますか?、という話。
<持 論>
ひとつの考え方として捉えていただけたら幸いです。
受験のための期間を自分なりに決めて、その間集中的に頑張って、それでもダメだったら、一旦は受験から身を引いて、社会人経験を積んだ方が良いと思います。受験勉強を長期間してきてもダメだった場合、あまりにもその期間が長いと社会的に根無し草になりかねないからです。とは言え、未経験でできる仕事もないわけではないので、根無し草は言い過ぎかもしれませんし、本人の適性にもよりますが、自営業などの道もあるかもしれません。
しかし、ある程度の給料をもらって…と企業就職を考える場合、多浪のような空白期間が長いと、現在の日本社会では不利な扱いをされることが多いです。
わたし自身、元来飽きっぽいところも少々あることから、こんなことを言ってしまうのかもしれませんが、受験ばかりに一直線でも気が滅入ってしまうでしょう。1年でも早く医師に…は解りますが、多浪でメンタルが病み始めていると自覚したら、ペースダウンは必要でしょう。その重症度によっては、受験から完全に距離を置いた方がベターです。
そして、多浪は合格という目標が達成されていない状態ですから、そんな状態が長く続けば中弛みしてしまい、モチベーションが低下しやすくなるのは明らかです。
モチベーションが低下した状態では受験勉強が捗らず、惰性の毎日が続いて、ただただ苦痛なはずで、悪循環です。受験を控えている人なら、本来なら日常的に緊張感があるだろうと思いますが、そんな状態で何年間にも渡ってベストコンディションで続けられる人は、超人的な人だけです。
メンタルを如何にして保つかが重要であることは、1浪でも経験したことがある人なら納得できる話です。
「不合格になった時のことを考えるな」「合格だけを考えろ」「気合いだ」「受験だけに集中して後は考えるな」「自分を崖っぷちに追い込め」というのは、まぁ受験の直前はそうだと思います。直前になって不安焦燥や迷いが出るようではいけませんから、そこは上手くマインドコントロールする必要があります。
しかし、誰でも入れてくれる世界ではありません。多浪しても入れない人が一定数居ます。
精神論だけでやれるなら、それこそ苦労はありませんし、おめでたい話です。
冷静さと現実検討能力を失ってはいけません。
<わたしの受験時代>
わたしの受験時代は、昼間は働いていたこともあり、1日の勉強時間は決して多くありませんでしたが、気持ちの上では臨戦態勢でした。獲物を射程距離内に捉えた捕食動物であり、100m全力疾走の状態です。特に合格前の1年弱の期間は調子が良かったこともあって、正に臨戦態勢でした(厳密には、8月頃まではスパートをかけず、やや緩めにして走る長距離マラソンのイメージではありますが)。
しかし、受験から離れていた約4年間は、心身のリハビリも兼ねていた期間でほぼ無勉状態。体勢を立て直して、再チャレンジした詳細は 106)に書きました。
もし仮に心身健康で、それをいいことに全力疾走の勢いのまま、2~3年ぐらい続けていたとすると、それまでに受かっていれば問題ありませんが、受からなければそのうちに失速する時が来て、緊張の糸はプッツリ切れてしまい、その先は心身ボロボロになっていたかもしれないなと、そんなふうに振り返ります。
結局、100mダッシュのような要領で何kmも走り続けてはとても身が持たないことと同じで、猛勉強を何年も続けられるわけがありません。
マラソンみたいに、夏まではゆっくりペース、秋にペースを上げて、冬は追い込みといったペース配分はもちろん考えます。それは考えますけど、基本的には年中猛勉、特に秋からはストイックに臨戦態勢。
しかし、そんなのを不合格の度に毎年繰り返していたら、気が滅入りますわ。
<期限を区切り、そこでダメなら一旦終了>
取り敢えず年単位で一定期間を全力でやり切り、それで結果が伴わなかったら、気持ちに踏ん切りを付け、他に目を向けて適度に視野を広げた方が、惰性で浪人を続けるよりは余程その後の人生の糧になると思います。
それに、人生何をするにもお金が要ります。働く機会を得て、ある程度は預貯金を作っておきたいところです。
<一旦終わらせる理由>
これは要するに、そもそも全力で何年も続くはずもなく、惰性で時間を浪費してしまう状況に陥ることを防ぐこと、心身がやられることを最小限にすること、社会的損失や不利益を拡大させないこと、というのが理由です。
そして、結果的に目標達成できなかったことは、どんな理由があるにせよ、自分の責任ですから、一旦は自分自身でそのけじめを付ける意味があります。合格すれば受験は終わりますが、不合格が続いてもいつか受験は終わります。より正確には、受験を終わらせる時が来ます。どこで終わりにするのかは自分自身で決めるものですが、これまでの過去に区切りをつけないと、これからの未来に進めません。
<一旦終了後>
そして、受験を完全に諦めるか(中止)、取り敢えず保留にするか(中断)はその人次第ですが、いずれにせよ受験は休業で。そこで、受験戦線から外れ、働くなどで有意義な社会人生活を送りましょう。
個人的な考えですが、まずは1年はその職場で働いてみましょう(職場でパワハラなどがあれば別問題ですが)。周囲の人たちから「あなたとなら一緒に働いてもいい」と思われるような、同僚や取引先から信頼されるような人になりましょう。「オレには受験がある」などといつまでも気持ちを引き摺らないように、取り敢えず受験のことはスパッと切りましょう。仕事の休憩時間に車中に引き籠り、コソコソと勉強するのは、不審者に思われるだけですから、一応やめておきましょう。イヤホンで英語のリスニングを聞く程度なら構わないでしょうけど。
仕事は仕事、手を抜くことがないように、働くからには頑張って働きましょう。
そして、そのまま働いていてもよいと思えるようになったら、そのまま2年、3年と引き続きその仕事をすればよい。医師になるのはやめて、その仕事に徹する。
それも人生です。
しかし、やはり医師になるのを諦めきれず、またやってみたいと思い直すようになれば、再チャレンジも可です。出直すのも人生。そんなふうに意欲が上がってきたら、それはそれでチャンスかもしれません。職場では何食わぬ顔をして働き、夜の時間を効率よく勉強に宛がうことから再開しましょう。
つまり、再チャレンジの機会が、数年間のお休みの後にあってもいいんじゃないですかという話。
なお、一旦受験勉強から離れてしまい、何年後かに再チャレンジできる体制が整うのか、つまり、勉強していなかった状態から勉強再開して、合格まで学力を高めることができるものなのか?
勉強を中断して、以前覚えたことをすっかり忘れてしまっていないか?
中断することは、非効率ではないのか?
それは、人それぞれかもしれません。
前に一度勉強していたことが、昔取った杵柄の如く、再開後にすぐに感覚が戻ることもあるでしょう。ただそれは、その人が以前勉強した時に、どのぐらい全力でやり込んでいたかにもよるでしょう。
受験を一旦やめた後に、いつか再びチャレンジする日が訪れるかどうかに関わらず、会社に勤めている間も、英語だけは継続して勉強しておくといいです。例えそれが趣味みたいであっても何でもいいので、最もユニバーサルな科目である英語を続けておきましょう。
医学生になってからも、英語は必要です。
全力疾走ではなくても、軽いランニングのイメージでいいので。
心身の調子があまり良くなければ、良くないなりにリハビリ程度でもいいでしょう。それでも未来につなげておいた方がいい。英語だけは続けてやっておいてください。
そうやって、本格的に意欲が上がるなりして再チャレンジの状況が整えば、過去に勉強もしていたことですし、臨戦態勢に突入するのは比較的容易でしょう。
ところで、勉強したいと思っているのに、肝心の勉強する意欲がなかなか湧いてこないということもあるかもしれません。
それなら、意欲が上がってくるまで待つしかないでしょう。そんな状況では猛勉できませんから、結果を出すことは無理でしょう。
では、いつまで待てばいいの?
判りません。
モチベーションが下がった状態での多浪は苦痛だと書きましたが、そもそもモチベーションが上がらない状態で再開しようにも、空回りするだけです。
どうやったらモチベーションが上がるのか?…これは重要ですが、実際には人それぞれですから、「こうしたらいいよ」とはなかなか書けませんね。
書ける機会があったら書きますが、薄っぺらいコメントになりそうです。
どうしても勉強自体を受け付けなくなったら、その時はもう別の道を考えた方がいいかもしれません。受験は希望者全員が希望通りになる世界ではありませんし、医学生になっても医師になっても勉強する姿勢は必要です。知識など吸収しようとする気がなくなってしまったら、医者の世界ではとてもやっていけないです。
<まとめ>
あくまでもわたしの持論です。全力で何年も持ちません。持つわけがありません。
持つのが1年なのか、2年なのか、3年なのか、人それぞれでしょうが、期限は設定した方がいいと思います。無期限に多浪を重ねれば、早かれ遅かれ必ずどこかで弛みます。
そして、設定した期限内に達成できなければ、一旦終了にして方向転換。
いろいろ勘案すれば、続けるより方向転換の方が明らかにベターだと思います。
ただし、将来的にまたいつかチャレンジしたいという含みは(未練みたいですが)、残しておいてもいいと思っています。英語など最小限の科目だけでも、ランニング程度のペースでもいいので、継続的に勉強されてみてはどうでしょうか。
そうしながらも、会社勤めの人なら会社の仕事を頑張りましょう。
そして、将来またチャレンジする日が訪れるのかどうなのか、そこは人によるとしか言えません。
チャレンジする日が再び来なかったとしても、それはそれでその人の人生。それこそ、医学部入学だけが人生ではありません。
周囲の人の助けや影響、環境などにも大いに関係すると思いますし、運もあるでしょうが、最終的に何がどうなるかは神のみぞ知るとしか言いようがありません。
わたしの考えですから、同じように思わない方も居られると思います。諦めずに4浪して受かっている人も世の中には居ます。だから、3年間を区切りにしていたとしても、気力が残っていれば、「もうあと1年」という気持ちにもなるかもしれません。難しいです。しかし、ズルズル行くかもしれませんし…。
まぁ、受験にタラレバ(~していたら、~していれば)はつきものです。
受験は賭け事とは違いますが、「あと1回賭ければ当たりが出るかもしれない」と賭け続けることが如何に危険なことか、不発の時の創が深くなることが冷静に考えれば解ります。
当たる根拠のない賭け事ではなく、勝算があれば「もう1年」も百歩譲っていいかもしれません。
しかし、多浪を重ねて果たして結果を出せるのか、一旦ここでやめて他に目を向けるべきなのか、立ち止まって考える機会は必要だと思いますね。
多浪してもダメだったケースを想定した、受験生にとっては非常に縁起の悪い話題ではありましたが、そこはやはり現実検討は必要ということで、書かせていただきました。
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